劇団ばいおん旗揚げ作品 「お宝」      作 岩川 光一朗 (登場人物) A:無口な発明家 B:忍者おたく C:人形おたく D:おじいちゃん E:ばあさん F:村人 G:黒子 シーン1 舞台が明るくなる、A・B・Cが部屋を片づけてる。舞台中央にはDが立っている。 D 昨日、ワシが死んだ。便所で踏ん張っとったら頭の血管が切れたんじゃ。…突然のことじゃった。 それで、今日はワシの3人の孫が‘片づけ’と称してワシの部屋をあさりにきちょるんじゃ。 せっかくじゃから3人を紹介しておこうかのう。まず、この刀をしょっている男。これが長男で、忍者マニアなんじゃ。 B片づけながら、忍者特有の素早い動きを見せる。 D そしてこのメガネ。次男じゃ。こいつはものごっつう無口でのう。生まれたときの「おぎゃー」さえ聞いたこともないんじゃ。あっそうじゃ。こいつの特技は発明なんじゃ。 A発明品を取り出して片づける。 D そしてこの人形男が三男で見ての通り人形との対話を生き甲斐とするお茶目な男じゃ。 Cお人形と遊んでる。 D 3人の名前は左から白・発・中じゃ。しかも、三人はとっても仲の悪い兄弟なんじゃ。ほんとーに仲が悪いんじゃ。そんなこんなで、ワシの部屋をあさっとる時じゃった…。 B 何だこりゃ? と本を差し出す。本は異様にでかい。三人はのぞき込みCが本を開く。そうするとやけにでかいメモが落ちる。三人でそれを開き見る。ストップモーション。地図には「さんしょく」という言葉と山の地図が書いてある。 B あのじじいめ何も残さず死んだと思えばこんなところに名刀村正を隠していたとは。こんな暗号と地図で俺の頭脳をごまかせると思ったか?甘いな。忍法「解読!」…分からない。 A (字幕…黒子がどこからとも無く現れる)これは何かの隠し場所じゃないか?良し部屋に帰って比較検討だ!(作者注 当時の学部で講義中に良くこの比較検討という言葉を使う教授がいたためこのセリフが出来た。) C ねぇ。フランソワーズぅ。これは何かの地図じゃないかなぁ?「うん。そうよ。」そうだよな。そうに違いない。俺ってなんて天才!「…。」何だよぉフランソワーズ。冷たい目で見るなよ。 ストップモーションとける。三人の目が合う。三人ともすごく不自然に。 B 拙者は鎖帷子でも、磨いて来るでござる。ニンニン。 と、そそくさ去る。 C フランソワーズ。そろそろお風呂に時間じゃないか?キレイキレイしようなぁ。 と、去る。 A手をひとつたたいて去る。 シーン2 陽気な音楽。残されたじいさんのところにばあさんが出てくる。 E よーきたのぉ。 D 誰じゃ? E この顔を忘れたか? D …隣のウメさんか? E 邪魔したのぉ。 と、去ろうとする。 D 待て、待つんじゃぁ。わかっとるわかっとる。ばあさんじゃろ。 E やっときたのぉ。何で死んだんじゃ? D いやのう。便所で踏ん張ったらプチって。 E そーかそーか。便所で踏ん張ったらプチっかぁ。さすが夫婦じゃワシとかわらんのぉ。 D フロでプチっぶくぶくぶく。じゃったもんのう。 E 相変わらずじゃのう。 D 何がじゃ? E あの子たちじゃ。 D 全くのぉ。 E 何でしっとるんじゃ。 D 当然じゃ。じいさんのことなら何でもお・み・と・お・しっ(ハート) E黙って去る。 D まっちょくれーじいさーん。 シーン3 B ♪やーまをこーえたにをこえーーっと。あの地図通り山の方まで来てみたのはいいのでござるが。暗号が解けないことには何も出来ないでござる。 と、Bが座り込むと。Fがやってくる。 F これこれそこの若いの。何をしとる。 B (とぅってもびっくりして)拙者に気配を感じさせないとは…ただ者ではないな… F 何か捜し物か? B え?え、ええええ。ちょっとマキビシをまきっぱなしで忘れてしまったのでござる。 F そうですか?それはお気の毒に、早く見つかるといいですのぉ。それでは。 B ちょちょちょちょーっと。待つでござる。 F 何か用か? B おじさんこの山に詳しいでござるか? F ああ、もう何でもきいちょくれ。 B じゃあ、「さんしょく…」…いや、信号は無いでござるか? F 信号かえ?あるよあるよ、ほらあっちの方だ。 B おじさんかたじけない。これで名刀村正は俺のもんだ。 B走り去る。 F 最近の若者は元気じゃのうっ。 おじさんが歩き出すと、なぜかAがあとから着いてくる。ぴったりとあとを歩いていて。ふと振り返りAの存在にびっくり。 F いったい何しちょるんじゃ? A何か分からないけど。身体で表現する。 F なにぃ?なんてかわいそうな若者なんだ! A続きをやる。 F そうか、なになに? Aさらに続きを。。。 F ああ、何とかわいそうなんじゃ。 Aまだまだ続ける。 F そうかそうか、何か力になれることはないかのぉ。 A懐から三色旗を出す。 F そうか、頑張るんじゃぞ。 A旗を振りながら元気に退場。 F さようなら若者よ。♪きみのーゆくみちはーはてしーなくとおいー Fと去ろうとすると。CがやってきてFとぶつかる。 C あっどうしよう。フランソワーズ人とぶつかっちゃったよ。 F ちょっと待ちねぃ。人にぶつかっておいてどうしようは無いだろ。 C フランソワーズ、もしかしてこの人怒ってるんじゃないかなぁ? F 怒ってるよ。 C フランソワーズ。謝るんだっ。「謝ることなんか無いわ。この人私に気があるんだわ。 F そんなことあるかいっ! C すみませんうちの子が変なこと言って。 F お前ひとりでさっきから何やっとるんじゃ? C …さぁ。行くとするか。 F 待てって。何か悲しいことがあったのか?話してみなって。 C フランソワーズ。この人信じてもいいのかな?「いいんじゃないの顔も変だし。」 F 関係ないだろ。 C さんしょく。 F は? C 「だからさんしょくっていってるでしょ?わからないのかしら。ったくつかえないわねー。だからいったでしょ?あてにしないほうがいいって。この人頭悪そうだもん。」そんなこと言ったらまずいよフランソワーズ。 F さんしょくかい? C 「そうよ。」 F 山に出る強盗のことかい。 C 「それは山賊。」 F 足の短いことだ。 C 短足じゃないの?「ねぇ。中。この人のギャグつまらないわね。」 F なんじゃ?ワシの高度なギャグがわからんのか? C さようなら。「いくら私がかわいいからって。私に惚れちゃ。だ・め・よ。」 F あー疲れた。今日はやたら変な奴らにあったなー。これで出番も終わりか。♪カラスが鳴くからかーえろっ シーン4 音楽。 A あっ、あんなところに信号でござるっ。忍法「飛び影ッ!」 と、A走る。 A うぎゃー。 と、Gの運転する車にひかれる。上演時は、厚紙で作ったサンドイッチマンのような車でしたっ(笑) A …む、無念。 B三色旗を振りながら現れる。妙に元気に旗を振る。なぜかそのまま去る。 Cが来る。あたりは既に虫の声。ふくろうの鳴き声がしている。 C フランソワーズ怖いよ。やっぱり帰ろう。 C帰る。 シーン5 三人がそろって食卓についている。 C 今日は三色混ぜご飯だよ。 A・B さ、さんしょくぅーーーっ!? C 三色混ぜご飯だよ。何取り乱してるんだよ? A・B い、い、い、いやいや別に… B そ、そういえば、おぬしら(A・Bに対して)今日はどこかへ出かけていたようでござるが。何処へいってたでござるか? Aゼスチャーをする。 B なになに、部屋で、研究をしていた。まぜたら爆発した。髪がドリフの大爆笑。 ※作者注)などと、適当なことを言ってました。 C 僕はフランソワーズのお服を買いに行ってたんだ。ね?フランソワーズっ。「うんそうよっ。今、流行のシャネルのスーツを買ってもらっちゃったっ。」 B ほうっ。そうでござるかっ。忍法「千里眼」っ。はあっ。…見える。やまみち。旗を振る男がひとり。発兄さんでござるっ。 Aかなり動揺している。 C そういう、白兄さんは、何をしてたんだよ。 B 拙者は山で修行をしてたのでござるっ。 C 「うそようそよ。変な忍者が信号機にむかって行って車にぶつかったって友だちのシャルロットが言ってたもん。」そうか、フランソワーズ。で、どうなんだ?白兄さん。 B うっ。そ、それは、鋼の体を作るための修行でござる… Aが、どこから持ってきたのか、Cが山で村人と話をしている写真のフリップと、その会話を録音したテープを持ってきておもむろに再生する。 B この会話の‘さんしょく’とは何でござるか? C そ、それは…村人にあなたは山椒を食うことが出来ますかと、聞いていたんだ。な、なぁ。フランソワーズ。 「そうよっ。お友達のシャルロットも、山椒が好きだって。」 三人とも気まずく黙ってしまう。黙々と、飯を食う。そして、三人同時にしゃべり出す。 三人 ところでさぁ。 三人気まずくまた沈黙。 三人 それでさぁ。 またまた、三人沈黙。 B あーーっ。もーいいでござる。拙者から話すでござる。心して聞くでござるよ。実はかくかくしかじか… C それじゃ分からないよぉ。 他の2人の強いつっこみ。 B おお、すまない。ではちゃんと話すでござる。実はじじが隠していた宝のことなんだが、拙者は今日修行の合間に探してみたんだが…どうやら宝とは髪が伸びると言われているお菊人形らしいのでござる。 と、言ってCの顔色をうかがう。A・Cストップモーション。 B これで、こいつらに協力させて、村正は俺のもんでござる。 ストップモーションとける。 C そ、そうだったのか。僕も実は、フランソワーズと一緒に探していたんだ。そうだよね。フランソワーズっ。「うんそうよ。お友達のシャルロットも一緒に探していたの。」 A・Bストップモーション。 C やはり宝はお菊人形だったか。この際だから発兄さんも。仲間に入れておくか。何かと便利だしな。 ストップモーションとける。 C ねぇ。発兄さん。唐揚げ好きだったよね。 Aうなずく。 C じゃあさ、これあげるから兄さんも手伝ってよ。フランソワーズが、兄さんの素晴らしい発明がみたいって言うんだ。「うん、見たい見たい。前に発兄さんが私のために作ってくれたジェットバス最高だったわ。」 A嬉しそうなリアクション。「よしやったるで」と言うポーズ。 A・Bストップモーション。 C たく、つまらない発明品をほめるのも楽じゃないぜ。 ストップモーションとける。 B じゃあ、明日みんなで探してみるでござるかっ。 C・A おうっ。 シーン6 D と言うわけで、山へむかった孫たちは、果たして宝を見つけることが出来るのか?いったい宝とは何なのか!三人の活躍に乞うご期待っ!! E 何ひとりで盛りあがっとるのじゃ。行くぞ爺さんっ。 E、じいさんを蹴飛ばす。 D はうっ! D胸を押さえて苦しみ出す。 E ど、どうしたんじゃため蔵しゃん。 D も、もうおしまいじゃぁ… E もう死んでるって。(と、Dを殴る。) D そ、そうじゃった。 E あいかわらずじゃのう。 D ばあさん。 E なんじゃ? D ところで、わしゃぽん吉じゃ。誰じゃため蔵って? E さ、遊んどる暇はないぞっ。行こうかのー。 D もしや、婆さん。ワシの居ない間にぃぃぃぃぃぃ! E はうっ! E胸を押さえて苦しみ出す。 D 大丈夫か?うめしゃん。 E はーよく死んだ。…ところでウメって誰じゃ?? D まぁまぁ。ワシが好きなのは。おタネひとりじゃっ。 と、D去る。 E まぁ。じいさんったらっ。ぽっ。 E去る。 シーン7 と、言うことでやって来ました山の中。 B ♪やーまをとーびー、谷を越えーっと、あ、これは昨日も歌ったでござる。 C 宝はどこにあるのかなぁ?フランソワーズ。「山って良いわねー。何か歌を歌いたくなっちゃう。♪口笛は何故?遠くまで聞こえるの、あの雲は何故わたーしを追ってるの。」 A・Bは、Cの歌に耐えかねて。適当なところでぶったたいて止める。A腕を組んで何事か考えている。 B いったい何を悩んでるのでござる。 A顔を上げる。 C 「何言ってるかわかんなーい。」おい、発兄さんは何も言ってないよ。フランソワーズ。 B ところで、あの紙に書いてあった暗号の‘さんしょく’あれは何でござるか? C 「私は分かったわ。あれでしょ、ほら、山にでる強盗のことよね。」…フランソワーズそれは昨日のネタだよ。 ここで、Aが何かみつけてひとりで騒ぐ。 BC どうしたんだ発兄さんっ。 そこに、F登場。 F これはこれは、昨日の…おやっ。それもまたおそろいでっ…。どうなさった? B いや、拙者達は、祖父の宝を…… A・C後ろからBをどつく。 C いえ、僕たちは天気がいいのでピクニックに来ているんです。 F そうかそうか、遭難しないようにな。 C …そうなん? F それでは。 F去ろうとするが、去り際に。 F さんしょくかぁ。 三人 まったーーっ。(まつでござるーー。) F は、はいはいはい。何ですか? B じ、実は。先ほどピクニックと言ったのは敵を欺くためでござって。本当は僕たちは山の自然を守るために調査に来ている。 三人 仲良し三人兄弟でーっす。(と、ばかばかしくもポーズ。) F そうかそうか、じゃ、三人で力を合わせて地球を守ってくれよっ。…それではっ。 三人 まってちょうだいっ。 F はいはいはい。 B それで、拙者らは、‘さんしょく’という言葉について考えてるのでござる。 F おお、さんしょくかぁ?君らのじいさんとはそのことについてよく話したもんじゃのう。 三人 本当ですか?? F ついてきなさい。 全員ジャンプ。 F さぁついた。ここがお前らのじいさんの行きつけの店「三本松食堂」じゃ。 三人大喜び。 F あそこにある三本松のふもとが何とかと言ってたなぁっ。…と、と、これは他言無用じゃった。それじゃ。 と、F去る。去り際に。 F にやっ。 C さようならー。さあ行こうよ。フランソワーズやっと日本の友達に会えるよっ。「うきょーうれしぃー。」 B ここが、三本松でござるか。 A下を指さす。 C 何かな、この穴?よし、フランソワーズ見てきなさいっ。「うきょーーーーーーーーっ」(と、穴の中にフランソワーズを投げ入れる。が、ゴムひもがついていて戻ってくる。)冗談だ。 A、穴をのぞき込んで考える。 B なに?ちょっと中にはいって調べてくるって? A違うとばかりに首を振る。 C しょうがないなぁ……兄さん見てきて(と、Bにふる。) B はぁぁぁ。忍法‘耳つんぼ’っ(と、耳を押さえる) と!その時っ。Fが走ってきて三人にタックルする。三人は穴の中に転がり落ちる。暗転。 シーン8 そこは穴の中。 C いたいよー。フランソワーズぅ。 B 人間辛抱でござる。 と、三人適当に穴の中でもめている。 C ねぇ。何この音。何か聞こえない? B 忍法‘地獄耳’!!あっ。本当だ、この部分の壁は割と薄いでござるぞ。 Aそこで、待ってましたとばかりに、何かをさっと取り出す。 B そ、それはもしや。それはあの噂のジェットモグラでござるか? A・C ちゃうちゃう。 C ただのシャベルだよー。しかも三人分。と、フランソワーズの、小さいやつ。 B ま、無いよりはましでござるな。 C じゃーみんなで掘るとしますかっ? と、穴を掘り出す。歌なんか歌っちゃって♪ばばんばばんばんばん。最初はいやいや掘ってるけど。そのうち、何故か楽しくなってしまったのか、みんなさわやかな笑顔になってくる。そして、壁が崩れる。 三人 開いたーーー。(と、三人はしゃぐ。) B 何か、マンガのような展開でござる。 C よけいなことは言わない。 A、遠くに何かツボのようなものを見つけて驚いている。 C あ、あれは。…ついに見つけたぞっ!フランソワーズやったぞっ。「やっと日本のお友達に会えるのねっ?」 B ついに名刀村正を手に入れる時が来たのでござる。 Aツボに歩み寄ってツボを見る。ツボの中からなにやら紙が一枚でてくる。手紙である。D舞台に出てくる。 D よう!よく頑張ったお前らのことじゃから。必ずこのツボを見つけると思ったわい。ワシはお前らに何も残せんかったから、せめてお前らに欠けている一番大切なものを残して逝くことにするぞっ。 A (期待の表情) C お菊人形? B 村正? D それは……団結じゃっ。お前ら三人に欠けていたものじゃっ。ここまでたどり着いたお前らならこの手紙の意味はよく分かるはずじゃっ……。 と、意味はないがD、マラカスを振り。客にむけてけつをふって踊る。伴奏、Eのタンバリン。リズム、おもちゃのサルのリズム♪ちゃんちゃんちゃん。ちゃんちゃんちゃん。しゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃ。 三人 じいさん。 B 拙者らに欠けていたのは団結でござったか。 C じいさん…ありがとう。 と、A・B・C去る。A、去り際に初セリフ(笑)。 A ダンスするけつで、だ・ん・け・つ。か。 音楽。 (幕)