北海道美瑛高等学校 平成11年度 高文連上川支部演劇発表大会上演作品 「あおいそらのした」 作 岩川 光一朗 シーン1 プロローグ   (音楽)幕が上がる。   照明のシルエットの中に、一本の木が立っている。   朝焼けから、朝になる。   風が吹く、風にとばされながらネコがやって来て木につかまる。風は止む。   空は青空。   ネコは、気持ちよく大の字にねっころがる。雨の粒が1つ1つ落ちてくる。飛び起きて木の下に行く。   女が走ってくる。木を見つけてよってくる。ネコを突き飛ばし、雨やどり。ネコしょうがなく邪魔にならないように雨やどり。   雨がひどくなる。女は、意を決して走り去る。ネコ、女を追いかけようとするが、自分には家がないことに気付いてあきらめて木の下で再び雨やどり。   雨がやむ。ネコはほっとして去ろうとする。が、何かを見つけて、逆の方に逃げる。少年が、追いかけて来る。   少年。残念そうにしている。空が夕焼けになっていることに気付いて、帰る。   夜が来る、月は満月。そしてまた朝が来る。   セミの声、ピエロがやってきて上着を脱ぎ、木の枝に上着を掛ける。汗を拭き、しばし休息。   そこに少年がやってきて指を指す。何か大声でピエロに言っている。ピエロたまらずに上着を手にうるさそうに去る。   雨が降ってくる。少年は走って家に帰る。ネコが走ってきて木の下で雨宿り。   雷がなる。ネコはびっくりして飛び上がり、逃げる。   雷鳴が続く中、男(黒いマントに身を包み、ハートの尻尾をつけている)が、1枚の紙切れを手にひいひい言って現れる。 シーン2 悪魔登場 悪魔 ここだな?何でこいつこんな畑の中に立ってんのよ。全く。まあいい。私の登場には全くおあつらえ向きの天気だな。(カッコつけて)さあ、降れ!思う存分。そして万物を押し流せ!   雷やむ。音止まる。 悪魔 おい。おーい。何で止まるの?   また、雷(遠雷)鳴り出す。もうだいぶ遠くに行っている様だ。 悪魔 まあ、何でもいいから、早く終わらせよう。   と、手に持っていた紙にテープを貼り、木に張り付ける。 悪魔 こいつが、今回の仕事か。木っていうのは初めてだな。   そこに、女の子が走ってくる。(頭の上に黄色いわっか、白い衣装に身を包んでいる。) 悪魔 うわ。また来た。 天使 五郎さん五郎さん五郎さーん。待ってくださいの河原で石積み。 悪魔 相変わらず意味不明だなお前。それに、下の名前で呼ぶのよしてくれない? 天使 そんなこと言わないちんげーる。 悪魔 俺は仕事なんだ。お前みたいに暇な人間につきあってる暇はない 天使 なによ。「暇な人間につきあってる暇はない。」人間って何よ。こんなぴちぴちの天使ちゃんをつかまえて。 悪魔 ぴちぴち? 天使 なに? 悪魔 何でもございません。天使様。 天使 ま、仕事仕事。早く済ませましょーコスギ。 悪魔 うわっ。 天使 なに? 悪魔 何でもございません。 天使 よろしい。 悪魔 これは俺の仕事だからな。言っとくけど。 天使 分かってる分かってる。いつものこと。こっちで、こうやって(とすみの方に移動)だまってみてるから。 悪魔 まったく。これが恐いんだよな。   悪魔は、鞄を下ろしファイルを取りだし、仕事にかかろうとしている。   と、天使、木から紙をはがす。 天使 こいつですかー? 悪魔 そ、そうですよ。 天使 いやー出世しましたね。悪魔君。 悪魔 うるさい。 天使 (悪魔に紙を渡して)読みなさい。 悪魔 は、はい。名前は、セブンスタートの木。身長、10メートル。 天使 たかっ。 悪魔 体重100キロ。 天使 おもっ。 悪魔 年齢100歳。 天使 ふるっ。 悪魔 バストウエストヒップオール2メートル!! 天使 どらむかん。 悪魔 職業。木。 天使 へえー。木かー木なんて初めてだなー、人間、馬、ネズミ、魚、アリと来て、今度は木かー。今まで動物だったのに、木だよ木。あーあ。 悪魔 しつこいなー。 天使 なに? 悪魔 すいません。 天使 よろしい。 悪魔 さっ。仕事仕事。 と、木に近寄って。 悪魔 え、えーと、私たちあなたにとっても大切なお知らせを持ってきたんですが。聞いてもらえますか? 木、無反応。 悪魔 あのー、聞こえてますかー。すごく大切なことなんですけど。 木、もちろん無反応。 悪魔 そうですか、無視ですか。そっちがその気ならこっちにも考えがあります。(大きな声で)セブンスタートの木さーん大切なお知らせでーす。 天使 何やってるの? 悪魔 え、えーと。 天使 なによ。 悪魔 これ木ですよ。 天使 木だね。 悪魔 説明。 天使 説明。 悪魔 あーーー。(と頭を抱える。) 天使 何よまどろっこしい。こうすればいいんでしょ。一発入魂。とりゃー。(と木をたたく)しゃべりなさーい。 木 いったぁ。何するんですか? 天使 やりぃ。 木 やりぃって・・ 悪魔 さすが天使さん。 木 あの・・ 天使 さあ、仕事仕事。 悪魔 え、でも、あの、その。(混乱中) 天使 早く言いなよ。 悪魔 何かこう面と向かうと言いづらいな。心の準備とかあるし。 天使 もーこれだよ。だから、人間の仕事降ろされるんだよ。 悪魔 え? 天使 いえいえなんでも。 木 あの、僕に用事ですか? 天使 そーなんですよ。お客様。はい。(と、悪魔を押し出す。) 悪魔 え、あの、いや、用って程の用ではないんですよ、はい。 木 え、気になるなぁ。 悪魔 やっぱやめとく。 天使 (つかんで、悪魔をぶったたく)早く言いなさいよ。 悪魔 (弱気)でもーー。 天使 こーゆーことはぱぱっと言うの。 悪魔 でも、こういうことぱぱっと言っていいのかな。もっとこーなんて言うのかな、「相手の意見もそんちょーして」ほら、よく学校の先生に言われたでしょ。 天使 いいのいいの。 悪魔 だってさ、 天使 だっても、さってもないの。 木 そーですよ、さっきから二人でごちゃごちゃと、何ですか? 悪魔 え、あの、その。 木 何ですか?。 悪魔 でもなーぁ。 木 もう、いいかげんにして下さい! 悪魔 死にます。(走って物陰に隠れる) 木 え? 悪魔 言いましたよ。 木 だからなんと? 天使 (木を突き飛ばして、悪魔に駆け寄って)五郎ちゃんすごい。最短記録じゃないの?やーるぅ。 悪魔 それほどでも。 天使 そんなことないよ。この調子なら、明日にでも人間の仕事に戻れるよ。 悪魔 そーんなー。てれるぜ。 天使 五郎ちゃん最高!五郎ちゃん天才!五郎ちゃんかっこいー。 悪魔 まあな。(とポーズ) 木 あの、ちょっと聞きたいんですが、 悪魔 なんだよ、いいとこなのに。 木 だから、え、なに?よく分からないんですけど… 天使 (木の胸ぐらをつかんで)ったく物分かりが悪い人でちゅねえ。死ぬんだよ、あんた。 木 死ぬ。 天使 死ぬって言うのはこの世からいなくなるってこと。分かる? 悪魔 てんちゃんそこまで言ったらさ、この人だって、いきなりのことでびっくりだろうし、ちょっとショックでかいって感じじゃないかな? 木 あの、死ぬって、ぼ、僕? 天使 そうあなた。切られて、たおれて、くさって、こやしになって、さよーならー。おわかり? 悪魔。天使の袖をつかんで 悪魔 あの、僕にも仕事させて下さい。 天使 なによ。 悪魔 ぼ、僕にも仕事させて下さい。 天使 うるさい。 木 あの。あなたがた、なんなんですか? 悪魔 あ、えーと、その。僕、悪魔君でこの人天使さん。僕は君に死を告げるキューピットさんで、これから2人で(2人でポーズ)あなたの願いを1つだけ叶えるってシステムになってるんです。(天使に)はー、一息で言えたよ。 天使 (「ばし」とたたく。)そーいうこと、何がいい? 木 百歩ゆずって僕が死ぬとして。どうして願いを叶えてくれるんですか? 天使 そんなのどうでもいいでしょ。 木 え、でも。いきなりだから・・。 悪魔 僕らは、ライフサポートセンター「天国と地獄」というところから来ていて、そうですね。ほら、これから死刑になる人って最期に1つだけ願いを叶えてもらえるじゃないですか。それとおなじです。 天使 お分かり? 木 死刑って。僕のこと? 悪魔 そうです。まもなく亡くなろうとしているあなたに、私たちが願いを叶えます。 天使 さ。願いを聞かせて頂戴。(と悪魔の鞄から手帳を取り出して) 悪魔 あの、そうやっていっつも僕の鞄にもの入れるの止めてくれません。 天使 うるさいな。あんた、仕事できないんだからかわいいわたくしめの荷物くらい持ちなさいよ。 悪魔 な、なにをー。そこへなおれぃ。 天使 さ、仕事仕事。願いを聞かせて。 悪魔 こらー。話を聞けー。 木 何か言ってますよ。 悪魔 そーだ。俺は怒っている! 天使 いいのいいの。さあ。何がいい? 木 え、でもそんないきなりいわれても。 悪魔 あくまでも無視ってことだなー。もーわかった。 天使 なにようるさいわね。 悪魔 えーん。 天使 早く。願いを。 木 そんな。この人泣いてますよ。 天使 いいから早く。素早く。敏速に。願いを。 木 え、ちょっと待ってくださいね・・あ゛(何か思いついた)。 天使 なに? 木 でもなー。 天使 10秒前。9、8、7、6、5。ぶっぶっー。はいだめ。じゃ。(と去ろうとする) 木 質問。 天使 なに? 木 これ新手の嫌がらせですね? 天使 ピンポンピンポンピンポン正解。じゃ。(と去ろうとする) 悪魔 ちょっと、仕事仕事。 天使 もう十分したでしょ。それじゃ、また明日。 と天使去る。 悪魔 もーっ。 木 なんなんですかあの人? 悪魔 ああいう人なんですよ。てんちゃんは。 木 ふーん。大変ですね。 間 悪魔 ごめんね。 木 え、何で謝るんですか?困っちゃうなー、それにしても今日は、いい日だな。 悪魔 そう? 木 そうですよ。いっつもこうやって、ぼおっとここに立って観光客のみなさんに写真とってもらったり。平凡な毎日ですから。 悪魔 平凡な毎日か。いいなー。 木 でもね、自分なりにがんばってるんですよ。ポーズとったり表情作ったり、ここに来てくれるみんなが少しでもいい思い出を持って帰ってくれるようにって。 悪魔 え、そんなことしてるんですか? 木 気持ちだけね。 悪魔 だよね。よかった。 木 なんで? 悪魔 なんか気持ち悪いじゃない、周りの木が一生懸命表情作ってるかと思うと。何かおちおち森も歩けない。 木 そうだね。・・ねえ、願いってなんでもいいの? 悪魔 「生きたい」や「何度も願いを叶えて」以外、てんちゃんがいいと認めたものなら。 木 ダメなのもあるんだ? 悪魔 そうだね。色んな奴がいるからね。「ドラエもんの道具を何か一つあげます。さあ何がいいでしょう。」「四次元ポケット!!」とか言う奴いるからね。 木 ふーん。 悪魔 そうだ、てんちゃん探してくるから、それまでに決めといて。 木 すいません。(悪魔が行くのを見て)あ、ちょっと 悪魔 なに? 木 他の人ってどんなことをお願いするんですか? 悪魔 人は人、馬は馬、ネズミはネズミなりの願い。色々ですね。それに僕ら木は初めてだから。でも、自分が欲しいってものを願えばいいんじゃないかな。それが正解だよ。たぶん。じゃ。 木 ねえ、ねえ。もう一つ。 悪魔 はい。 木 あと、どれくらいのイノチなんですか?僕って。 悪魔 1日かな。じゃ、また戻ってくるから。それまでに決めといてね。 木 ありがと。悪魔さん。 悪魔微笑み、去る。木定位置に戻る。 木 1日か。 シーン3 ネコと木 木 何がいいかなー。お水をたくさん。太陽さんさん。でもなー、そうだ。死んでも残るものがいいなー。でも、そんなの無いか。あ、誰か来た。 そこに、バイオリンを弾きながらネコが入ってくる。木の下にきて、ひと休み。ネコ、毛づくろいをしている。 木 あ、ねえ。ネコさん。一生に一度1つだけ願いをかなえてくれるって言われたら、どうする? ネコ聞こえない。ネコ爪をたてて木につかまりのびをする。 木 痛い痛い。爪立てないで下さいよ。ネコさん。 ネコ関係なし。がりがりやる。 木 あのー聞こえてますか? ネコ、木に乗っかる(抱きつく)。 木 うわっ。何するんですか? そこに悪魔と天使がくる。 悪魔 連れてきましたよー。あっ!! 天使 何してんの? 木 え!   音楽。 天使 何やってんの? 木 これ? 天使 そう。 ネコ、なぜか「にゃ」と笑って、離れる。 木 え、いや、あの、その・・あ!!ちょっとーネコさん。 天使 言い訳しようっていうの? 木 ただ、お話ししようとしてたら、いきなり、えーとそれで、 天使 私というかわいい奥さんがありながら。 悪魔 おとうちゃん。かえって来てー。 天使 わかりました。実家に帰らせていただきます。 悪魔の手を引いて去ろうとする。 悪魔 おとうちゃーん。 天使・悪魔振り返り。つかつかと木に近づき。 天使 この。浮気者ー 悪魔 ばーか。 音楽止まる。 木 何なんですか!! 悪魔 (無視)で、決まりましたか?願いは。 天使 こらー。 悪魔 何です? 天使 下がってなさい。私の仕事よ。 悪魔 はーい。 天使 決まった?10秒前、9、8・・ 木 あー待って!何でもいいんですか? 天使 私が認めれば。・・さあ、何をお望み? 木 恥ずかしいな。 天使 さあ! 木 ねえ、こんなことってできるのかな? 天使 なに? 木、天使に耳打ち。 天使 えー、言葉!ちょっと聞いたごろーちゃん。こいつ言葉が欲しいんだって!! 木 ちょ、ちょっとー。・・・出来ますか?どんなものとも話せる言葉ですよ。 悪魔 私たちに出来ないことはない。 天使 ほんと? 悪魔 といいなー。 木 ちょっとー。 悪魔 じゃ、行こうか?てんちゃん。 天使 はいはいそこに立ってね。 木 何ですか? 天使 と、言うことで、私たち 悪魔 悪魔君と。 天使 天使ちゃんが、 悪魔 あなたの願いを実現するお手伝いをさせていただきます。 木 あ、お願いします。 天使 それでは、簡単な儀式ね。すぐ終わるから。一応ね。 悪魔 すぐ終わるから。 天使 さ、行くわよ。せーの。 天使・悪魔 (なんか形式的に)願いたまえ叶えたまえ願いたまえ叶えたまえ。はーっ!! 天使 (木に)さあ、喋ってご覧なさい。 木 (ネコに)こらー爪を立てるなー。 ネコびっくりしてかけずり回る。 ネコ 誰? 木 僕だよ。いつもここにいるだろ。 ネコ なんでもいいけど、何か食べ物くれない? 木 食べ物?おなかすいてるの? ネコ 無いの? 木 残念だけど。 ネコ 無いんだ。 木 僕、木だから。 ネコ ふーんいいね。木は。 木 そうかな。 ネコ そうだよ。だって立ってるだけで生きてられるんだもん。 木 え、でも。 ネコ うらやましい。 木 そうですか? ネコ そうだよ。 木 ねぇ、何か弾いてよ。 ネコ手を出す。 木 なに? ネコ 食べ物。 木 無いよ。 ネコ もーだめだー。 と座り込む。 木 あのネコさん。 ネコ 何だよ。 木 死なないでくださいね。 ネコ それもいいね。 木 そんな。僕のこやしになっちゃいますよ。 ネコ それはやだ。 木 でしょ。 ネコ あーあ。あいつがいたらな。 木 へ?あいつって。 ネコ かっこいーんだ。いっつも、うちがピンチのとき、風のようにやってきて助けてくれる。白馬の王子様。うち、あの人無しでは生きていけない。 木 好きなんですか? ネコ はずかしー。 木 どんな人ですか? ネコ 人じゃないよ。 木 どんなネコですか? ネコ うーん。って、そりゃー言えねーよ。 木 いいじゃないですか? ネコ はずかちー。 木 じゃ名前は?名前くらいならいいでしょ。 ネコ ウィーリアム。 木 すごい、なんかかっこいい。 ネコ だろ? 木 ねえ、好きってどんな感じ。 ネコ え?そんな恥ずかしいことよく真顔で言うね。 木 いいでしょ。教えてよ。 ネコ おなかがすいていても、そいつのことを考えると・・きゃーはずかちー。 木 いいなー。うらやましいなー。 ネコ なにがさ。 木 自分らしく生きているから。 ネコ 君の方がうらやましいよ。毎日立ってるだけでさ。 木 そんなこと無いですよ。ネコさんは自分の足でいろんなところに歩いていける。どこまでも。 ネコ でも途中でのたれ死ぬかもしれない。 木 そうだけど、僕だって明日切られちゃうかもしれない。 ネコ そうだけど、うちが死んじゃう確率の方が大きいよ。 木 でも、大きな自由を持ってる。 ネコ、大の字に寝る。 ネコ はー、おなかすいた。とりあえず今日のご飯。どうしよー。 木が横に寄り添う。 木 ネコさんも僕も青い空の下。ですね。 ネコ鼻をくんくんする。 ネコ あ、食べ物のニオイ!! とネコ去る。 木 ちょっとねこさーん。もー・・・行っちゃった。さびしいなー。 木定位置に戻る。 シーン4 少年 木 ごほんごほん。あーあーあーあえいうえおあお。か、かけきくけこかこ。 悪魔出てくる。 悪魔 何やってんの? 木 発声。 悪魔 なんで? 木 せっかくだから「素敵な声で」と思って。 悪魔 ふぅーん。続けて。 木 あ。 悪魔 あー(変な声で真似。) 木 い。 悪魔 いー 木 う。 悪魔 うー 木 何ですか? 悪魔 いやがらせ。 木 何なんですか? 悪魔 続けて。 木 あいうえお、いうえおあ・・ 悪魔 あーいうーえお、いーうえーおあ・・ いつの間にかネコがでてきて。 ネコ (「にゃ」で登場の音楽を歌いながら登場) 木 なんかやりずらいなー。 ネコ にゃんきゃなににゅにゃいにゃー。 木 もーねこさんも悪魔さんも何なんですか? 悪魔・ネコ 遊ぼ。 木 ネコさんおなか空いてるんでしょ? ネコ もう大丈夫。そこで観光客からゴハンもらった。だからあそぼ。 木 しょうがないなー。せっせっせーのよいよいよい。(など遊ぶ。) と振り返ると。悪魔指をくわえてみている。 木 わかりました、じゃ。古今東西ね。「古今東西。」 木・悪魔 「いえーい。」 木 TM revolutionのメンバー。 木・悪魔。手を2回たたき。 木 西川さん。 木・悪魔。手を2回たたき。 悪魔 ・・・。ちょっとー とネコが木のそでを引っ張る。 木 何しようか?しりとり! ネコ いいよ。いくよ。リンゴ。 木 ゴ、ゴリラ ネコ ラ、ラッパ。 木 パンツ。 ネコ ツルッパゲ。 木 ゲ、ゲジゲジマユゲ。 ネコ ゲ、ゲジゲジマツゲ。 木 ゲジゲジスネゲ。 ネコ ゲジゲジハナゲ。 木 何ですかゲジゲジハナゲって? ネコ いいの。 悪魔。指をくわえている。 木 はいはい。 悪魔 す、すいか。 木 か、か、かいじん。ん。ん。あーごめんね。終わっちゃったー。 悪魔 ・・・・・。もういい。 悪魔いじける。少年出てくる。 少年 あ。あー。 ネコ 来たよ。来たよ。来ましたよー ネコ木に隠れる。 少年 ね、こ、だー。わーい。 少年ネコに近づく。 少年 ねこだ、ねこだ、ねこだ、ねこだ。おて。 ネコ、いやいやお手をする。 少年 いいこでちゅねー。(頭を混ぜ混ぜなでる。) ネコ (お手をしながら)この子いっつもこうなんだよね。 少年 おかわり。 ネコ 犬じゃねえっつーんだよ。まったく。(おかわりする。) 少年 うまいうまい。よくできまちたー。 少年食べ物をあげる。 ネコ これがなきゃやってられないよなー。 少年 ちんちん! ネコ そんなのできなーい。 少年 やっぱりむりか。 ネコ「ふん」と、木の根本にすわる。子供、てふてふを追いかけてる。 少年 ♪ちょーおちょー、ちょーおちょー、菜の葉に止まれ。 ネコ こいついっつもなんだよ。 木 大変ですねネコさんも。 ネコ まったく。でもついやってしまう自分が悲しい。 木 まあ、そんなもんですよ。 少年。てふてふをつかまえて木のところに持ってくる。 少年 僕のペットの〜(名前)。 木 かわいいね。 少年 大好物は木。 木にてふてふを突きつける。 少年 たーんとお食べ。 木 やめてよ。くすぐったいよー。 少年 やだよ。だってこの子おなかすかせてるんだよ。 木 でも木は食べないよ。 少年 食べるよ。むしゃむしゃと。そういう奴なんだから。 木 やめてよ。 少年 やーだよ。 木、変なところを指さして。 木 あ! 少年 え? 木 あちょー と、少年の腕をチョップ。少年手を離す。 少年 あー。なにすんだよ。 木 だってしつこいから。 ネコ ほんとしつこいんだよこいつ。 少年 しつこい?僕しつこい?そっかーしつこいかー。 木 え、あ。ごめん。 少年 (ネコの手をとって)ぼくしつこいんだってー、学校のみんなからも言われたよ。しつこいって。 ネコ だってしつこいもん。 少年 そんなことないよねー ネコ あるとおもうけどなー 少年 そうだよね。ネコちゃんだけが僕の友達だ。 少年ネコをぎゅっと抱きしめる。 ネコ き、君とだけは友達になりたくないよ。 木 わかったよ。ごめんよ。何かして遊ぼう。 少年 何するの? 木 そうですね。 少年 海が見たい。 木 へ? 少年 ねえ、つれてってよ。 木 ちょ、ちょっと、それは無理ですよ。 少年 なんで。 木 何でって。 少年 どうして。 木 どうしてって・・ 少年 連れてってよー 木 そんな、僕、木ですよ。 少年 つまんない。つまんない、つまんなーい。(と手足をばたばた) 木 ごめんね。 悪魔 めちゃくちゃでんな。この子。誰かさんみたい。 天使 なに? 悪魔 いえいえ。 少年 海に行ったらいい子になれるんだけどな。 木 悪い子なんだ。 少年 母さんに怒られた。 木 なんで? 少年 ネコを飼いたかったんだ。 木 ネコって、もしかして・・この子? 少年 (うなづく) ネコ え、勘弁してよ。 少年 いつもおなかすかしてるから。僕もいっつも一人で寂しいし。 木 ふーん、だめなの? 少年 だめだって。 ネコ よし。 木 ねえ、ねえ、ここ。 少年 どうするの? 木 耳。 少年 あてるの? 木 もうちょっと上。 少年 こう? 木 そう。何か聞こえない? 少年 ごーって。海の音。 木 そう。 少年 ふうん。 木 いいでしょ? 少年 全然。 木 そうかな。 少年 つまんない。 ネコ こいつめちゃくちゃいうな。 木 そっかーじゃあ、お話をしよう。 少年 つまんなかったら切り倒すよ。 音楽。 木 昔。この丘にワニが来たことがあったんだ。 少年 ワニってあのワニ。 木 そう。 少年 なんで? 木 死ぬまでに一度山がみたい。って言って。 少年 山?そんなのうんざりだよ。僕は海がみたい。 木 それは君がここに住んでいるからだよ。 少年 えーでも海の方が好きだな。 木 そのワニがね。一枚の地図を持っていたんだ。 少年 へえ。 木 宝の地図。おじいちゃんにもらったんだって。 少年 宝ってお金? 木 そう。お金や宝石や、金銀財宝。 少年 いいな。お金があったら自由にどこでも行ける。 木 あの丘の木の根元に埋まっていた。 少年 へえ。 木 でも、ワニはお宝を手に出来なかった。 少年 なんで?あ、分かった。長旅でひからびて死んじゃったんだ。はいおわり。 木 ちがうよ。 少年 じゃあ?。 木 あの山のむこうにおちるおっきな夕陽を見ていったんだ。 少年 あーひからびる。たすけてくれー。 木 ちがうよ。「あーこれがおじいさんの宝物なんだ」って。 少年 じゃあ、金銀財宝は? 木 そのままあの丘に埋まったまま。 天使 な、なにーっ。 天使走り去る。 悪魔 て、てんちゃん。 少年 もったいない。 木 でもね、何よりの宝物だったんじゃないかな?初めて来た山そしておおきな夕日。 少年 僕はお金の方がいいな。 木 自分にとって何が宝物かなんて自分にしか分からないんじゃないのかな。 少年 ふーん。ばいばい。 と少年去る。 悪魔 何だあの子。 木 切られなかった所を見ると。ま、楽しんでくれたかな? 悪魔 ねえ。 木 なに。 悪魔 さっきの話。 木 え? 悪魔 お宝。 木 ああ。ここからきれいな夕陽が見えますよ。 悪魔 そうじゃなくって。お宝。 木 2年前掘られましたよ。新聞にも載ったでしょ? 悪魔 てんちゃんたら、全くいっつもああなんだから。ちょっと呼んできます。 悪魔去ろうとする。と、天使がでてくる。 天使 何にもないじゃない。嘘つき! 悪魔 嘘つきって、あるわけないでしょ。おととし掘られたって。 天使 早く言いなさいよ。 悪魔 話最後まで聞かないから。 天使 何、私が悪いの。 悪魔 (木に)ねー。 天使 ふん。 と、天使去る。 悪魔 待ってくださいよ天使さーん。 悪魔去る。 木 一人っきりになっちゃった。ま、いっか。 シーン5 ピエロ 木が立っている。 お手玉を3つ抱えたピエロの格好をした女が入ってくる。木に寄り掛かって座る。やがて腰を降ろしたまんまの格好で、お手玉の練習を始める。最初は手をぐるぐる回すところから。 ピエロ いち、に、さんッ。(とお手玉を舞台に落とす。) ピエロ いち、に、さんッ。(とお手玉を舞台に落とす。) ピエロ いち、に、さんッ。(とお手玉を舞台に落とす。) ピエロ いち、に、(と木がお手玉の一つをつかんでしまう。)あれ!? 木 (お手玉を落とす。) ピエロ さん??(周りをきょろきょろする。) ピエロ (気を取り直して。)い、(木が玉を全部取ってしまう。) 木 (ピエロの頭の上にお手玉を3つとも落とす。) ピエロ ぅえっ?? ピエロ (気を取り直して玉を投げる。が、3つともとられる。) 木 (取った玉を上手と下手にぽーんと投げる) 悪魔と天使それぞれ舞台にでてきてキャッチ。玉を持っておかしな軌跡を描きながらピエロのの近くに近づく。そしてピエロの顔に玉をぶつける。最後に木が頭の上に玉を落とす。 ピエロ え、な、なに? 木 ははははは。 ピエロ な、なんだよ。笑うなよ。 木 こんなところで何してるんですか? ピエロ 練習。 木 練習。練習って、お手玉? ピエロ お手玉じゃないよ。ジャグリング。いいだろ別に。 木 いいけど。 ピエロ じゃあほっといてよ 木 はーい。黙ってまーす。 ピエロ練習。木、耐えられずに。 木 ねえ、ねえ、ねえ、でもさ何で練習なの?ピエロならお手玉、玉乗り、綱渡りなんでもこい・・ ピエロ (持っていた玉を落とす) 木 ・・じゃないみたいだね。で、練習ってわけだ。 ピエロうなずく、そして練習。 木 ねえ、どこかのサーカスの人なの? ピエロ そう。この丘の下の広場。 木 僕はこの丘の上しか知らないから。 ピエロ ふーんそうなんだ。そこのピエロ。 木 近いの? ピエロ なにが? 木 その、ほら、広場。 ピエロ すぐそこだよ。 木 ふーん。近いんだ。 ピエロ 歩いたらすぐだよ。 木 そっか。 ピエロ、やっぱり出来ない。 木 難しい? ピエロ 基本なんだけどな、こんなの。カスケードっていうんだ。 木 へー。 ピエロ やってみる? 木 出来ませんよ。木ですよ僕。 ピエロ (木を見る) 木 でしょ?もー。 ピエロ そっか。ごめん。 木 気にせんでくれい、さあ練習練習。 ピエロ おー。 ピエロ、やっぱしできない。 木 なかなか出来ませんねー。 ピエロ むか。 木 いや、あの、その、でもほら、なんて言うのかな? ピエロ なに。 木 一生懸命な人ってステキ。って思った。 ピエロ 馬鹿にしている。 木 素直じゃないなぁ。 ピエロ だってみんな馬鹿にするんだよ。君だって。 木 僕なんかしましたか? ピエロ イタズラして笑って。 木 ごめんなさい。 ピエロ みんなそーなんだ。 木 え、そんなこと無いと思うけどな。 ピエロ なぐさめないでよ。 木 そんなつもりじゃないんだけどな。 ピエロ ほっといてよ。 木 はーい。 木、気まずそうにだまる。ピエロ練習。 木 何でピエロになったんですか? ピエロ え、何? 木 何でピエロになったんですか? ピエロ 人と違うことがしたかったんだ。 木 え、それだけ? ピエロ そう。それだけで悪かったね。 木 あ、ごめんなさい。 ピエロ そうだよね。でもやってみると、いいよ。 木 え? ピエロ ピエロ。喜ぶんだ。子供が 木 へえ。 ピエロ 出てくるだけで。すごい拍手なんだ。 木 いいですね。 ピエロ いいでしょ。でもね、すごい苦しいんだ。僕、みんなに迷惑かけてばっかり。いらないんだよ僕なんて。 木 本当にそうですか? ピエロ そうだよ。 木 世の中にいらないものなんてないんですよ。 ピエロ だといいけど。 木 ねえねえほら。 木が空を示す。 ピエロ ・・・ 木 空。きれいでしょ。大好きなんです。 ピエロ へぇ。 木 なんだかいろんなやなこと忘れさせてくれる。 ピエロ いろんなこと?君にあるの。 木 馬鹿にしないでください。ありますよぼくにだって。 ピエロ いつもここに立ってるだけでしょ。 木 分かってないなー。植物には植物なりの悩みってものがあるんだなーこれが。 ピエロ そうなの。 木 そうなの。 ピエロ 大きい。 木 空飛びたい。ばっさばっさと。 ピエロ ちっぽけだ。 木 ん? ピエロ 自分。 木 そうだね。(大声で)ちっぽけだー。 ピエロ 小さすぎて悲しくなる。 木 ぼくちっちゃい頃桜の木になりたかった。 ピエロ え?そんなことできるの? 木 出来るんですよ。植物の場合。 ピエロ ほんと? 木 子供のうちなら出来るんですよ。 ピエロ どうやって? 木 気合い。 ピエロ 気合いか。 木 うそですよ。 ピエロ だよね。教科書で習わなかった。 木 サクラってきれいでしょ。みんなにちやほやされていいなーって思った。 ピエロ へえ、そんなこと思うんだ。 木 馬鹿にしてるでしょ。植物を。 ピエロ そんなこといったって、君は桜じゃないだろ。 木 そうなんだよね。そう思う。 ピエロ そうだよ。 木 桜梅桃李(おうばいとうり)。だよね。 ピエロ え? 木 桜は桜、梅は梅、桃は桃、すももはすももってね。 ピエロ なに。 木 自分の持ち味をいかして生きるのが一番だって。 ピエロ え、なに? 木 偉い人の言葉。 ピエロ空を見上げる。 ピエロ 青い。 木 広い ピエロ 大きい 木 でっかい ピエロ きれいだ 木 美しい。 ピエロ 優しい 木 ほんと。空を見ると優しい気分になれる。 ピエロ がんばれるかな。うん。そんな気がする。 木 気がするだけじゃないの? ピエロ でももう大丈夫。空を見ればいい。 木 この空も今日限り。か。 ピエロ なに? 木 僕ね、明日切られるんだ。 ピエロ 明日?またぁ。 木 冗談みたいですよね。でも、たとえ千年元気に生きてきたからって明日元気にいられるって保証はないんんだよね。今日気づいた。 ピエロ そんな。 木 恐いなー死ぬのって。 ピエロ そりゃ、ねえ。でも。 木 死ぬって分かってたらもうちょっとまじめに生きてたなー。 ピエロ しょうがない。僕が守ってあげよう。 ピエロパントマイムで木の回りに壁を張り巡らせる。 木 なに? ピエロ さあ、誰も壊せない壁。これで君は切られないよ。 木 ・・ありがとう。 ピエロ 少し元気になったぞ。君と話して。 木 今日は空がきれいだからね。   ピエロ練習。どうしても出来ない。 木 がんばれよ。 ピエロ ありがと。 木 行ってらっしゃい。 ピエロ うわー。行きたくない。 木 待ってるよ。子供たちが。 ピエロ そうだね。また来るよ。ばいばい。 ピエロ去る。木、見送る。 木定位置に戻り、空を見上げる。 木 どこまでも青いなー。「きれい」なんて言葉がちっぽけに感じるよ。 ネコがあるいてきて。木の根元に寝る。少年が来て、ネコを枕に少年が寝る。悪魔空を見る。天使一緒に空を見る。辺りは夕暮れの景色になっている。 シーン6 あやしい女の子   女の子でてくる。鞄からわら人形、金槌、釘を出し「ひひっ」と笑う。木にめがけて一直線。 女 死ねー   音楽!!   みんなびっくりして逃げまどう。天使だけ楽しそうに見ている。   ふらふらと木に近づき、わら人形をあてがい金槌を振り下ろす。1回2回。木はたまらず。飛び退く。 木 うわっ。なにするんだ。 悪魔 こいつ危ねー。 女 黙って罰を受けろ! 木 やめて下さい。 女 うるせーとめるんじゃねぇ。 木 って言うか、痛いーー。 女 私の受けた痛みに比べればこんなの大したこと無い。いざ! 悪魔 いざって、ちょっとーぉ 天使 やれーやれー。 悪魔たまらず女を引っ張る。 天使 ちっ、いいとこだったのに。 悪魔 天使さんも手伝って下さいよ。 女 な、なに、かが引っぱって・・ 悪魔 はやく。 天使 やーだよ。 悪魔 いいんですか?また降格ですよ。木の次は、雑草かな? 天使 なぬ。 悪魔 寿命より早く死なせたら、降格。神様がいってた。 天使 早く言いなさいよ。こらー。大事な客に何をするー。 天使急いで殴る蹴る。 女 何だ、こりゃ。(ばた。) 天使 安心せいみねうちじゃ。(と足を乗せる。) 悪魔 (木に)ちょっとやばいんじゃないのあれ。 木 そうですよね。みねうちってねぇ。 悪魔 完全にのびてるよね。 木 息してないよね。 悪魔 うわっ白目むいてる。 木 ちょっとやりすぎだよねー。 悪魔 っていうか職権乱用? 天使 (振り返って、指を鳴らして)君たち、死にたいの? 悪魔・木 いえいえ。とんでもございません。 悪魔 それよりも、この子どうする? 木 起きるの待ちますか? 天使 2度と起きなかったりして。 悪魔 天使さん! 天使 なによ。 悪魔逃げるように走っておしぼりを持ってくる。女の子の体を上に向けおしぼりをかぶせる。 悪魔 なんかやな風景だね。 木 何です。 悪魔 人間の仕事をしてるとこういう場面よく見るから。 悪魔、鈴を鳴らす動作。 天使 そりゃ死にそうな人ばっかりだからね。 悪魔 最後なのに、ね。 木 何ですか? 悪魔 一生懸命なんですよみんな。 天使 もうだめなのにね。 悪魔 まあ、僕らは知ってるからそう言えるんだろうけどね。 女、突然起きあがって。 女 みんな死んじゃえ。 また倒れる。 木 重症ですね。 悪魔 重症だわ。 天使、寝ている女の額に触れる。 天使 へえ、2浪してんだ。しかも、高校時代いじめられっこ。だけじゃない。予備校でももバイト先でもいじめられっこ。こりゃすげーや。 天使、女にカツを入れる。 天使 そりゃ。 女、起きる。 女 は。何をした? 木 お前の体にリモコン装置を埋め込んだ。お前の体はもうお前の体ではないのだ。 女 そんな。嘘でしょ。 木 嘘だと思うならこれを受けて見ろ。 木、悪魔を見る。 木 いいですか?ラジオ体操! 悪魔、女の子の手を取り。ラジオ体操をやらせる。 木 わかった?私には逆らえないんですよ。 女 くそ。みんな死んじゃえ。(涙ながらにラジオ体操) 木 もういいですよ。 悪魔調子に乗って止めようとしない。 木 もういいですって。 悪魔やめない。それどころかエスカレート。 木 やめろーっ。 女 何? 木 いや、こっちのこと。 木 みんな殺したいの? 女 そう。地球上の人間全部。 木 おだやかじゃないなあ。 女 そう、私の心はどしゃぶりなの。 木 どしゃぶり? 女 そう、どしゃぶり。 木 じゃあ、すぐに綺麗な青空が見えますね。よかった。そーだ。 道にでこぼこがあるから雨あがり水たまりになる。 心にもでこぼこがあるから泣いたあと水たまりになる でも心の水たまりにも深い青空がくっきりと映っている (「水たまり」きの ゆり より) 女 なに? 木 僕が昔もらった詩。男の子がつくってくれたんだ。あなたにあげます。 女 いらない。とにかく私の心は大嵐なの。 木 受験やいじめくらいで大嵐なんですか? 女 なんで、知ってるの私のこと。 木 だから言ったよね。あなたの体はあなたのものじゃないんです。「ばんざい!」 悪魔万歳させる。天使足を上げさせる。 悪魔 題して。 天使 グリコ。1粒300メートル。 女 何よこれ。どうしろってゆーの? 木 汝。人を恨むなかれ。 女 そんなの無理よ。分かるでしょ。 木 分かる。けど 女 けど何よ? 木 かわいそうな人です。 女 悪かったわね。 木 あなたじゃないですよ。あなたの周りの人たち。・・だってそうでしょ。もともと生き物は自分の意志で生きているんです。競争は避けられないけど、必要以上に他人をいためつけるのはは人間だけですよ。戦争だってそうです。昔は雨は天の恵みだった。それが今は酸っぱい雨が降ったり・・ 天使・悪魔女の手を取り遊ぶ。 木、一生懸命語る と振り返ると、女が天使と悪魔にもてあそばれている。 木 ちょとーっ。すとっぷ。 天使・悪魔 へ? 木 ちょっと人が喋ってるの邪魔しないで。 女 何かいるの? 天使 天使でーす。 悪魔 悪魔でーす。 木 ナマケモノとコアラの霊です。 天使・悪魔 こらー。 木 とにかくあなたは悪くないんです。 女 じゃ、やっぱりあいつらが悪いんだ。殺してやる。 木 それも違いますよ。 女 じゃあ。 木 何かが悪いじゃないんです。自分の心を汚さないで下さい。 女 そんな言葉で煙に巻かれないわよ。 木 そんなんじゃないですよ。 女 じゃあ何なのよ。私にかまわないで。 木 そういうわけには行きません。 女 なんで? 木 君には僕がいないとダメなんだから。 女 あーそうですか。はいはい。 木 あ、嘘だと思ってるでしょ。むかしっからそうなんだよ大昔っから。 女 なにいってんの?わけわからん。(と鞄を降ろし座る。) 木 (女から鞄を取り上げて)ねえ、この鞄何入ってるの? 女 何だっていいじゃない。 木 開けていい? 女 ダメ。 木 えーみせて。 女 みたい? 木 みたい。 女の子近寄ってきて、鞄を逆さにする。みかん、とわら人形いっぱいとカメラが出てくる。 女 気が済んだ。何なの?いったい。 木 ねえ、そのみかん僕にくれない? 女 食べるの? 木 まさか。 女 じゃあ。 木 あげるんです。おなかがすいてる人に。あなたはそのミカンを食べなくても死なないでしょう?・・僕にには大事なものを入れておく鞄なんてないし、自由に歩ける足もない。でも、足下にミカンを忍ばせておくことくらいはできるからね。 女 何でそんなに人のこと考えられるの? 木 癖ですから。 女 世話好きの木なんて聞いたこと無い。 木 そうですか?植物ですから。僕。 女 ふーん。 木 ねえ、それ。 女 これ? 木 そう。写真機。 女 写真機。カメラ? 木 んんっ(咳払い)いいじゃないですか何でも。 女 これどうかしたの? 木 撮ってくれませんか? 女 なに? 木 写真。 女 君を? 木、うなづく。 女 しょうがないなー。 木 やったー。 女 じゃあいくよ。 木 待ってよ。 女 なに? 木 ねえ、ポーズとか構図とか決めないの? 女 いいよそんなの。 木 あ、なんか投げやりだな。 女 じゃあどうしようか。 木 こんなのがいいかな。いや、こんな方がセクシーかな? 女 どうでもいいよ。 木 投げやりだ。 女 分かったよ。 木 やっぱりそっちからこう見上げるように撮ってもらった方がいいかな。でもなー。 女 いいじゃんここから撮るよ。 木 待ってよ。僕の人生最後の写真なんだから。いいでしょ。(あ、それが〜な僕にいう言葉ですか?) 女 なにそれ? 木 今日限りのイノチなんだ。僕。 女 は? 木 は?ですよね。切られるんだって。ギリギリギリばたーんって。 女 切られるの? 木 そう明日の朝には。 女 信じられない。 木 でもね。最後にこうやって、いろんなものと会えた。明日にはとれない景色だよ。 女 ・・・。 木 今日はいろんな人と会ったんですよ。 女 へえ。 木 ネコさんに男の子にピエロさん。そしてあなた。 女 へえ。 木 あ、そうそう。天使と悪魔にもあったんですよ。 女 天使と悪魔? 木 そう。けっこういい人たちなんですよ。最後に僕の願いを叶えてくれたんだ。 女 ふーん。 女カメラを構える。 女 いくよ。 木 あっ、まったー。 女 また? 木 お願い。みんな呼んで来てもいい? 女 しょうがないな。 木 ね、天使さん。悪魔さん。みんな呼んできてくれませんか? 悪魔 いいですよ。いいですよね。 天使 やだ。つかれた。一人で行って。 悪魔 分かりましたよ。じゃ。 悪魔去る。 天使 ばいばーい。 木 ほんとに、あの人悪魔なんですか? 天使 そうだよ。 木 なんか悪魔ってもっと強くて恐いんじゃないですか? 天使 そうなのよ。 女 何が来るの? 木 お楽しみです。 ネコ。何かを追って舞台に入ってくる。 木 ネコさん待ってました。 ネコ おなかがすいた。なんか無い? 木 ありますよ。(ミカンをあげる。)(女の子に)いい? 女 もちろん。 少年が来る。 少年 ネコだネコだ。わーい。 ネコ 来た、来た、来ましたよー。 少年 お手。 ネコ「フン」と無視。 少年 なんだよ。君だけは友達だと思ってたのにー。 ピエロがでてくる。 少年 あっピエロだ。 と、言われて、ピエロいい気になって。お手玉。が、もちろん出来ない。 少年 だっせー。 天使少年をぶったたく。 天使 うるさいっ。 少年 いたい。よー。ネコちゃーん(と抱きつこうとする。) 抱きつこうとしたその瞬間。ネコ爪でひっかく。 少年 うえーん。 木 かわいそうに。(と少年を抱きしめる。) 少年 うえーんおかあさーん。僕悪い子かなー 木 そんなこと無いよ。ただ元気なだけだよ。 木しばらく。少年を抱きしめる。 木 ね。悪魔さんは? 天使 さあ、またどっかで油を売ってるんじゃない。 と、悪魔登場。 悪魔 えー油はいらんかねー。油、油はいらんかねー。 とそのまま去る。が、戻ってくる。 悪魔 ね、止めてよ。 木・天使 ・・・。 悪魔 つれてきましたよ。みんな。 木 写真を撮ろう。この青空の下で。僕がこの丘に生きづいていた証として。 少年 えっ写真?やったー。 ネコ きれいに撮ってよ。 少年 ねこちゃーん。一緒にうつろーねー。 ネコ やじゃ。 ピエロ端で落ち込んでいる。 木 ねえ、ピエロさんも。   ピエロ、フレームに入る。   みんな、写真のフレームに入る。 女 じゃ、いくよ。はい、チーズ。   みんな、最高の笑顔。 女 あれ・・。ごめん。フイルム切れてるよ。 少年 えー。 ネコ なーんだ。 女 ごめん。 木 え、そんな。いいですよ。こうやってみんなに会えたし。 ピエロ そうだよ。忘れないから。絶対。 木 ありがとう。本当にありがとう。みんな。 ネコ それじゃ。帰る。 木 いろんなところに行ってね。 ネコ 食べ物がある限りね。 とネコ去る。 少年 ネコちゃーん。 木 元気でね。 少年 今度は海だからね。 木 無理だよ。 少年 ばいばい。 と少年去る。 女 ほんとごめんね。 木 あ、無理聞いてくれてありがとう。・・早く見えるといいね。 女 なに? 木 心の青空。 女 むりだわ。 木 大丈夫もうすぐ見えるよ。 女 だといいね。じゃ。(去り際に)死ね。 木 うわっ。 女微笑んで、去る。 木 僕この丘で生きてきて本当に良かった。 ピエロ そうだね。こんなに青空が綺麗に見える丘もめずらしいもんね。きっと、思い出すよ。空を見たら。 木 え? ピエロ 君のこと。 木 ありがとう。 ピエロ それじゃ。 木 がんばってね。 ピエロ え? 木 ピエロ。 ピエロうなずいて去る。やがて夕暮れの時が来る。 シーン7 その夜 木が立っている。あたりはすっかり日が落ちてしまったようだ。悪魔が一人で舞台に入ってくる。 悪魔 どうだい?自分の願いを叶えてもらって? 木 そうだね。自由に歩きまわれる足って方が良かったかな? 悪魔 無いものが欲しくなる。そんなもんかもね。人って、 木 人? 悪魔 木、悪魔、天使、この世のもの全て。かな? 木 でも、言葉で良かったと思う。 悪魔 それは良かった。 木 本当にありがとうございます。 悪魔 あ、それはてんちゃんに言ってください。 木 なんで? 悪魔 願いを叶えるのはてんちゃんだから。 木 ふーん。でも言葉をしゃべれるといろんなものが見えてきますね。今まで、聞いたことや見たことそれ以上のことが分かりました。それに、良いものを手に入れちゃいました。 悪魔 なんですか? 木 ねえ、悪魔さん? 悪魔 なに? 木 悪魔さんって好きな人いる? 悪魔 いるよ。 木 おっ、あっさりいいますね。 悪魔 悪いか? 木 いや、悪魔さんらしくなかった。 悪魔 僕だってたまには・・・ 木 上手くいくといいですね。 悪魔 どうも。 木 いえいえ。 悪魔 ねえ、「誰」とか、「どんな人」とか聞かないの? 木 聞いて欲しいの? 木・悪魔 (吹き出す)ぷっ。 悪魔 お前さ。 木 聞きましょうか? 悪魔 (首を横に振って)神様みたい。 木 え、なに? 悪魔 お前、神様みたいだ。 木 ちょ、ちょっと、いきなりなんですか? 悪魔 お前、神様だよそうだそうに違いない。 木 何ですかやめて下さいよ。 悪魔 いや、そうだ。絶対そうだ!! 木 照れるな。でも僕が神様なら、世界中みんな神様だらけになっちゃうよ。 悪魔 何で? 木 だってさ。地球上には木がたくさんあるんだよ。 悪魔 そうだけどさ。 木 そうだけど、なに? 悪魔 喋る木はお前だけだ。 木 そうですね。ねえ、悪魔さんの好きな人って。(耳打ちする。) そこに、天使が来る。 天使 悪魔さーん。あーこんなところにいたーろーさんじーろーさんさぶろーさん。 木 (悪魔の背中をたたいて)ほら、来ましたよ。 悪魔 なんだよ。 木 照れないの。 天使 神様が怒ってるよ、報告に来ないって。 悪魔 今いくから。ちょっと待ってて。 天使 行ってる。下のサーカスでも見てる。 悪魔 待っててって言ったのに・・ 木 ほら、行かないと。 悪魔 ねえ、一応聞いとくけどさ。 木 はいはい。 悪魔 好きな人。 木 好きな人。いますよ。 悪魔 ええー! 木 人じゃないけど。意外ですか? 悪魔 上手く行くといいですね。 木 なんですか? 悪魔 真似しただけ。 木 聞いてくれますか? 悪魔 なに? 木 僕の好きな人。色々話してたら気づいたんです。 悪魔 いいですよ。 木 ・・・空です。 悪魔 へぇ。 木 変ですか。 悪魔 悪魔にとっては。 木 今日のような月の夜もいいけど、あの澄んだ青空。大好きなんです。雨が降ったり、嵐が吹き荒れて、もうあの青い空を見ることが出来ないって思っても、必ず顔を見せてくれるあの青空。大好きなんです。 悪魔 へえ。 木 まじめですよ。どんなに手を伸ばしても届かない。好きで好きでしょうが無いのに・・結局届かなかったですね。誰がものにするんでしょうね。あんな美しい空を。 悪魔 そうだね。じゃあ、僕行くから。 木 (意味ありげに)頑張って下さいね。いろいろ。 悪魔 (うなずく。) 悪魔走り去ろうとする。 木 (悪魔の背中に向かって)ありがとう。 悪魔 (振り返って、笑顔で)おやすみ。 悪魔走って去る。空には星が輝いている。いつまでもいつまでもこの夜が続くように。 シーン8 次の朝 木が立っている。天使・悪魔もそこにいる。 天使 どう。もう覚悟はついた? 木 つきませんよ。それどころか、まだ信じられない。 天使 それはこいつに言って下さいよ。何てったって。 悪魔 何? 天使 こいつの仕事は、死を知らせて自覚を持たせることですから。 悪魔 すんません。未熟者で。 木 ま、許しましょう。 悪魔 さあ、泣いても笑ってもあと少し。思い残したことは? 木 別に・・考えたらきりがないですもんね。 天使 そーだよね。もー棺桶に足つっこんでるんだもんね。 悪魔 ひどい言いぐさ。 天使 しょーがないでしょ。性格なんだから。 悪魔 はいはい。 木 ねえ、おふたりさん。 悪魔・天使 え? 木 これからも仲良しコンビでいて下さい。 悪魔(天使) はい。(えー。) 悪魔 もういい。神様ぁー。 悪魔去る。 天使 行っちゃった。 木 行っちゃいましたね。 天使 ねえ、なんかおもしろい話してよ。 木 それはぼくのせりふですよ。 天使 もう十分楽しませたでしょ。 木 そうですね。 天使 しょーがないなー。じゃ、とっておきの話をしてあげる。 木 何? 天使 天国の話。 木 天国の話? 天使 そう。聞きたい? 木 聞きたい聞きたい。 天使 あのよー・・・くっくっくっ。 木 ・・・。 天使 笑いなさいよー 木 ねえ、天使さん。 天使 何? 木 何で天使さんって天使になったの? 天使 希望してなれるもんじゃないよ。 木 じゃあ?いい子だったから。 天使 ぶぶー。悪いことをしても見つからなかったから。 木 じゃあ悪魔さんは? 天使 たまたま悪いことをして見つかっちゃったから。 木 何やったんですか? 天使 なんだと思う? 木 なんかせこそう。 天使 そう。せこいよあいつ。 木 えーと。 天使 10秒前。9。8・・・ 木 はいはいはい。 天使 はいセブンスタート君。 木 万引き。 天使 ぶっぶー不正解。参加賞。あの世への旅プレゼント。 木 うれしくない。 天使 でもあいつ凶悪犯じゃないよね。どーみても。中にはいるんだよ、やくざみたいな悪魔も。「てめー死ぬんじゃー自覚せいや、覚悟せいやー」とか言っちゃうやつ。 木 良かったそういう悪魔さんじゃなくって。 天使 そういう悪魔はこういうところには来ないんだよ。 木 そうなんだ。 天使 当たり前でしょ。だって木だよ、木。 木 木って人気低いんですか? 天使 当たり前でしょ。誰が好き好んで木の相手したがるのよ。 木 え、そうなんですか・・。 天使 なによ。これから死ぬって時にブルー入らないでよ。 木 そうですよね。 天使 そうそう。それにね。結構楽しかったよ。あいつには秘密だけど、 木 悪魔さん? 天使 あいつ調子乗るから。「僕は植物専門だ」とか言い出しそうで。 木 やっぱり嫌いですか?僕のこと 天使 そーじゃなくって。いろんな仕事がしたいのー。 木 そっか、よかった。 そこに悪魔がかけてくる。 悪魔 おーい。 木 あ、もどってきた。 天使 何やってたの。 悪魔 秘密。 天使 帰ってこなくて良かったのに。 悪魔 何ですか? 天使 そしたらもっとステキな悪魔と組めたのに。 悪魔 何で突っかかるんですか? 天使 何よ。 木 おにあいですね。二人とも。 天使 何言ってんの。 木 天使と悪魔2人でちょうどいいって感じ。 悪魔 そりゃそうですよ、神様がペアを決めるんですから。 天使 神様のバカヤロー。 木 ちょっとそんなこと言っていいんですか? 天使 もっとましな奴と組ませろー。 悪魔 ほっときましょう。 木 いいんですか? 悪魔 いいんです。 木 大変ですね。 悪魔 こんな時にごめんね。 木 いや別に。楽しいですね。 天使 神様から仏様に乗り換えようか? 悪魔 はいはい。それより、そろそろ時間ですよ。 天使 そっか。それでは。ごほん。「ここからは、静かに自分の気持ちを落ち着けて。来るべき出来事にのぞんで下さい。」 木 はい。いろいろとありがとうございました。 悪魔 いえいえ。 天使 仕事ですから。 悪魔 それでは。 悪魔、これから始まる何かに向かって指をパチンとならす。 静かな音楽。 そこに、ネコが走ってくる。ネコ、木に魚の骨を差し出す。 そこに少年が来る。花の首飾りを木にかける。 ピエロが来る。ピエロ。自分の鼻を外し、木につける。 女が来る。 4人並んで、木を見守る。 木 みんなありがとう。最後にみんなと会えて幸せだった。ばいばい。 もうだれ一人として木の言葉を聞くことは出来ない。やがて、チェーンソーの音があたりに響きわたり、木が倒される。倒れた木を4人が受けとめる。悪魔と天使はその様子をながめている。 音楽 木4人に支えられ。下手に去る。 シーン9 エピローグ 音楽(小田 和正「あの人に会える」) そして木は立っていない。 少年が花を持って出てくる。 少年 はやくー。 おかあさん(木と二役・おなかが大きい)が出てくる。 おかあさん もー待ちなさーい。 少年おかあさんの手を引いて、切り株のところまでくる。 少年 おかあさん。 おかあさん なに? 少年 木。 おかあさん 木? 少年 そう木。はえてたんだここに。 おかあさん どうしたの。 少年 切られちゃった。 おかあさん ここ、にも大きな道が通るのねたぶん。 少年 僕。いいこになるよ。 おかあさん どうしたの?突然。 少年 いい子になる。それでおかあさんに楽させてあげる。 おかあさん ・・そう。ありがとう。 少年 がんばるから。 おかあさん いいのよがんばらなくても。 少年 がんばるの。 おかあさん もーどうしちゃったの今日は? 少年 いいの。ねえ、あっちの丘まで競争しよう。いくよ。よーいどん。 少年走り去る。 おかあさん もー、しょーがないわね。(おなかをさすって)こら、まてー。 おかあさん小走りで去る。 ネコが入ってくる。女の子が丘をバックにネコの写真を撮る。ピエロが切り株に座りお手玉をする。(お手玉ができるようになっている。) 女の子がカメラを構える。ピエロ、ピース。ネコ玉をとって逃げる。ピエロネコを追っかけようとする。 そこを女の子が写真に撮る。ピエロ「何でとるの?」という感じでみる。女の子「早く玉取返さなきゃ」という感じで指差す。ピエロ追っかけて去る。女の子最後に一枚丘の写真を撮って去る。 悪魔 あいつどうしてるのかな? 天使 神様の所に行ったんじゃないの。 悪魔 そうだよね。 天使 何で切られたんだろうあいつ。 悪魔 さあ。 天使 なにも切らなくったっていいのにね。 悪魔 人間の考えることだから。 悪魔、枝を拾う。 天使 それどうするの? 悪魔 あの青空に一番近い丘に植え替えてあげよう。 天使 まーたまたまたまた。 悪魔 なんですか? 天使 そんなんだから、いつまでもダメなのよ。客にすぐ感情移入して。 悪魔 悪かったね。 天使 早く、人間の仕事したーい。 悪魔 僕と一緒にいる限りダメですよ。 天使 冷静な、ゴルゴ13のような悪魔いないかな。 悪魔 言ったでしょ。「君と僕とは、離れられない運命」だって。 天使 神様、仏様、お願いします。こいつと離れさせて下さい。 悪魔 あのねー。 2人顔を見合わせて笑う。 空を見上げると、そこには虹がかかっている。 天使 ねえ、ねえ、ほら。(と空を指さす。) 悪魔 あ。 天使 あの上歩いてみたいな。 悪魔 空までいけそうだね。 天使 それは無理ですね。 悪魔 てんちゃんそれでも天使ですか? 天使 あなたそれでも悪魔ですか? 2人再び空を見上げる。 悪魔 これからもよろしく。(手を出す。) 天使 はい、よろしく。(手を握り返す。) 音楽上がる。 (幕)