『兄弟達の家庭の事情』   作・甘夏ドリンカー -------------------------------------------------------------------------------- 【登場人物】  唯:長女・高校一年  海:長男・中学三年  愛:次女・中学二年  泪:次男・中学一年  舞:母 ・年齢秘密 --------------------------------------------------------------------------------  唯    い〜い?問題は母さんが買ってきたケーキの数よ。  愛    そっ。あたし達が4人姉弟なの知ってて、わざと一個しか買ってこないんだからぁ。  海    どうする?四等分すっと、一人一口しか胃に入らねーぜ。。  泪    いえ、あの微妙な二等辺三角形・・・。先端部分になった人は一口すら食べられ        ませんよ・・・。半口・・・いやそれ以下か・・・。  愛    あたしは、んなのイヤよ!だいたい、海兄ちゃん、昨日、あたしの魚全部食べや        がったじゃない!今日は身を引きなさいよぉお!!  海    ケッ!ヤなこったぁ!  愛    何よう!実は’モーむす’の加護亜衣命のくせして、自分の彼女には、ちゃっかり        「君だけしかいないよ。」とか言ってんの知ってるんだかんね。バラされてもイ〜        の!?  海    うっ!  泪    愛お姉さん、’モーむす’って何ですか?それ、おいしいですか?  唯    ・・・モーニング娘の略よ。それくらい、いくら勉強バカでも知ってなさい。  泪    将来役に立つなら考えます。(笑顔)  愛    ンなこたぁ、どーでもえーっちゅう〜の!どーなのよ、海兄ちゃん!  唯    話の腰を折るようで悪いんだけどねぇ、愛。あなたも海とあんま変わらないわよ。  愛    ギックゥン!  唯    まさか、私が気づいてないとでも思って?最後のお楽しみに取っておいた「冬の       口溶けポッキー」をあなたに盗み食いされたことをぉおおお!!  愛    ギクギクギックゥウウン!!   海    ヨッ!さっすが唯お姉さま!言ってやれ、言ってやれぇ!  唯・愛  黙れ!安部なつみ命男!!  泪    女は怖いですよ、海兄さん。  海    ガキのくせして、カワイイこと言うのねぇ、泪ちゃ・・・(泪に口を塞がれる。)  泪    どーぞ、お姉さん達、続けてください  唯    どーしてくれるのよ、期間限定品なのにっ!  愛    ・・・んでも、それとこれとは話が別よ!。  唯    そうよね・・・。しょせん、あたしのポッキーなんて、それだけの話よね・・・。あなた       の人生のほんのちっぽけな1ページよね・・・。でも、でもね、私はあの       ココアパウダーのかかったチョコが厚く塗ってあるポッキーをとても楽しみにして       いたのよぅ!あなたは、それをっ、それをぉおお・・・うぅぅう〜〜(泣く。)  泪    心中お察しします、唯お姉さん。ですが、あなたも僕に対して同じような罪を犯して       いる!  唯    (急に立ち直って)うっそ、マジ?  泪    僕が何か災害があったときのために保管しておいた食料を勝手に夜食として食い       尽くしたのは、あなたでしょう!  唯    テスト期間だったのよ!お腹空いてたのおっ!  海    開き直るなよ。  愛    あたしの知らぬトコでそんなことが・・・恐るべし、テスト期間!!!  泪    とにかく、話を総合した結果、僕だけがケーキを食べる権利があると・・・  海    待ちゃーがれ、泪!俺はテメエに超傷付くことをされたぁ!  泪    何を言っているんですか、僕は何も・・・まっ、まさか、兄さん、アレに気づいたんで        すか!?  海    おおよ!泪。俺様を甘く見ちゃあダメだぜ!  泪    わ、わかりました・・・。今回のケーキは、兄さん、あなたに譲ります・・・。  唯・愛  泪ちゃんっっ!!何ゆってんの!?お姉様たちは、どーしろとゆぅーの!?  泪    後は3人で話し合って下さい。僕は意見できません・・・。    海    だとよ。どーする?唯姉さん、愛?  唯     〜〜〜〜〜!!わかったわよ。今日は泪ちゃんが何か大変そうだから、海、あん       たにあげる。  愛    へっ!!いいよぉだっ!!あたしも実はお菓子食べたばっかで、おなかいっぱいだし       ぃぃぃっ!!  海    おお!!それでこそ我が兄弟っ!!感謝するぜっ!!    ◆ 振り返ると、すでに母がケーキを食べ終わった後。(登場して、ケーキ食べ始める      タイミングは、お好みでどうぞ。)  母    ふぅ〜。おいしかった。・・・あら、何か戦場の後みたいねぇ。どしたの。  唯    か、かあさん・・・今なんて言った・・・?  母    「戦場の後みたいねぇ」って・・・  唯    いや、その前。  母    「おいしかった」それがどうかしたぁ?  愛    ま、まさか、ジョーダンだよねぇ・・・ねぇ、ねぇねぇ!?  泪    母さん、何をお食べになりました?  母    決まってんじゃなぁあい。  4人   はい、何でしょうかぁ?さっさと言って下さい!  母    ケーキ  4人   はぁ?  母    ケ・エ・キ。  4人   はぁぁあああ!!?  海    吐けぇ!!なるべく原形のまま吐けぇー!!  母    下品ねぇ、海。夕食抜きにするわよぉ。  愛    やられた。また、ハメられた・・・。  泪    遊ばれましたね。すっかり・・・。  母    何のことかしらぁ?ママは別に、ケーキわざと1個しか買ってこないで、みんな       をケンカさせて、そ・れ・み・て、楽しもうだなんて、考えちゃないわよ。全然。    ◆ 一同沈黙  唯    そーなんだ・・・。やっぱり、そーなのね・・・。  海    こーなりゃ、ウラの手だ。テメェら、準備はいいな!?  唯    いつでもっ!  愛    オッケーッ!!  泪    どうぞ、始めて下さい。  海    いくぞ、セぇーのぉ  4人   そんな女だから、父さんに捨てられたんだぁぁぁああああ!!!    ◆ 4人、口々に、悪口を言いながら、下手に走って退場。  母    ・・・あいつら、触れちゃあいけないトコに触れたわね。ま、いいわ。次はステーキ       とかにしとこーかしらね。覚えてなさいよ、ママ、一生根に持つタイプなんだからねぇ       ・・・けっこぉ、今、ショックよぉ〜〜〜っっっっ!!    ◆ 母、下手に退場、子供達の叫び声。                             (終わり)