演技以外に、衣装や音響、照明も決めなければならない。遺書は大体固まったが、シンデレラの着るドレスが見つかっていない。後は、ピーターパンの緑の服。

　音響は、ベタにディズニーを使おうと思っていたが、持ってくると言っていた部員が忘れたお陰で、全く違う音源を使う事になった。これが結構合っていて、怪我の功名だった。

　照明は、ピーターパンが蔭を無くしたのを、主人公のアドバイスで見つけるという下りがあるので、どう工夫しようか迷っていたが、先日見た「国盗人」にヒントを得て照明は使わない事にした。

　都合で、キャストを降り、舞台監督を務めてくれるＭに声をかける。

　「なあ、Ｍ。」
　「何ですか？」
　「ラストで影やって。」
　「どういうことですか？」
　「だから、ピーターパンの影の役やって。」
　「えーっ！！」

　国盗人で、主役の影を黒い衣装を着た俳優がやっていて、メチャクチャかっこよかった。それを取り入れたいとお話しをする。

　「あー、それおもしろーい！」

周りはノリノリ。少しやらせてみると結構面白かった。

　「頼むよ。」
　「・・・はい。」

　最後に、実際の会場で劇の一部をやってみる。予想通り、声がなかなか通らない。特に主役のＵは、細かいセリフを感情を込めて言わなければならない。大声で、怒鳴るわけにも行かず、かなり悩んでいた。負けず嫌いの彼女の事だ。きっと、これからの発声練習に気合いが入るだろう。