管理人ブログ - 全国高校演劇大会
全体的に、いろんな意味で収穫の多い大会だった。行って良かった。印象に残ったのが、「戦争」と「不登校」をモチーフにした作品が目に付いたこと。そして、何より入賞したのが、こういうくくり方はいけないかも知れないが、すべて「学園もの」だったこと。去年と選出のされ方や傾向が、ガラッと変わった「印象」を受けた。
簡単に、1校ずつ雑感を記しておく。
【1日目】
「馬を洗って」 きっと、実際に馬を洗ってみたのだろうし、北海道でなければ、出来ない舞台だろうと思う。舞台上に馬が見えた。残念なのが、ミュージカル仕立てだったのに、歌とダンスが今ひとつだったこと。あれが鮮やかに仕上がっていれば、4つに入っておかしくないと思う。というより、4つにはいると思っていた。「リンゴの木」でも見られた人海戦術と小道具による表現は、スピードもあって、健在だった。
「老人ホームひまわり園」 ちょっと、脚本が弱いような気はするが、演技は素晴らしかった。ホッ稼働とはまた、違う意味で「東京っぽい」作品。男子陣の演技の質は、コミカルな老人の表現と高校生の悪のりのギリギリの所をいっていて、多分、評価は分かれるだろう。
「エピソード」 舞台装置が、いかにも舞台装置っぽく、わざとなのか、よくわからなかったが、舞台で展開されるシリアスな演技と少しミスマッチな気がした。ラストの発狂した師団長の甲高い声の連続は、ちょっと私には辛かった。丁寧に描いているとも言えるが、話がなかなか進行せず、展開にもう一工夫あるともっと良かったと思う。
「報道センター123」 あさひ役が、本当にアナウンサーっぽいしゃべり方で、途中で、前期、後期生徒会長のまねをするシーン等、演技力が光っていた。それ以外の人物は、割と典型的な描き方のような気がした。
【2日目】
「トシドンの放課後」 この作品は、大好きな脚本だし、私は演出をしていないが、堺中も上演した。この学校の舞台を関東大会でも見たが、「破廉恥」のところのやり取りが増えたくらいで、余り、演技や演出は変わっていなかった。思い入れが強い作品なので、見る目が辛くなっていると思うが、以前、このコラムで関東の舞台について書いた時と同じ印象だった。
「ガンバレ井上ひろし!」 一言で言って、松竹新喜劇(笑)。笑って、笑って、ちょっとしんみりして、最後は完全な期待通りのハッピーエンド。安心してみていられる。私は、大好き。
「HR」 「リービングスクール」と「ごくせん」を足して2で割ったように思えた。教室の後ろに廊下を配して、いろいろ通らせる手法は、「超正義の人」や「桜井家の掟」でも、使われていたし。
「赤い日々の記憶」 これは演劇なのか?あれは、演出なのか、ただの棒読みか?どこまでがフィクションなのか?賛否を含めて、見終わった後に必ず議論が巻き起こる。観客は色々なことを考えざるを得ない。私は、それは狙いとして計算されていると思ったので、その脚本の仕掛け方に感動した。創作脚本賞でもいいのではと思った。
「なにげ」 意味がわからないと嫌な人には、全く受け入れられないだろう。寺山修司や野田秀樹のつもりで見るとすごく面白い。私は、2日間の中では、一番惹かれた。脚本集に収録されるといいな。唯一、難を言えば、あくまでも好みだが、背負われるのは、犬の方が良かった。
【3日目】
「ボクサー」 脚本は面白かったが、演技のテンションとテンポが、今ひとつだった。多分、代替わりで未消化のまま、本番を迎えてしまったのだろうと思う。 もう少し、弾けてれば、すごく面白かったろうなと思った。途中、客席後部で、誰かが喚いていた。多分、会場から出されたのだと思うが、結構長い時間、喚いていて、観客も、後ろを向いたりして集中できなかった。あの状況の中で、演じ続けた彼らには、大きな拍手を送りたい。最後の講評までいられなかったが、どこかで、誰かが、あの件の説明なり、ねぎらいなりをしてくれていて欲しい。
「修学旅行」 この最優秀賞には、多分、会場にいた誰も異論はないだろう。私は、見終わって、ちっとも哀しかったわけでもないのに、感動して涙が出てきた。他の学校が、コミカルな動きや、ギャグで笑いを取っているのに対して、ここの笑いは、とても演劇的で、きちんとストーリーや表現の中で位置づけられていた。脚本、演技、演出、どれをとっても素晴らしかった。そして、客席と完全に一体となって、夢の空間を作り出していた。多分、あの空気は、国立では、再現できないだろうし、BSにも映らないだろう。それが、非常に残念だ。

パブリック・メニュー