管理人ブログ - 高校演劇全国大会1日目
今、三重に来ています。一日目の寸評です。
1.愛媛県立川之江高校「ふ号作戦」
10年ぶりの川之江の全国大会出場。今年はこれを見に来たといっても過言ではありません。作者で顧問の曽我部専制のブログでは、不安交じりだったのですが、面白かったです。アンサンブルが見事でした。
いやいや集まった面識のないメンバー。みんな、機械的に終わらせて早く帰りたいと思っている。その中で一人だけ、異を唱えるものが出てきて、そこからだんだんと対立と交流が生まれ、最後は結局、状況は変えられないけれど、一人一人の心や考えが変わって、少し、前向きに一歩を踏み出す。
そんな、構成が七人の部長を彷彿とさせました。もちろん、二番煎じだというわけではありません。そういうコンセプトが、川之江のピタッと来る方向性なのかなと思いました。
好みで言うなら、エンディングは、校庭を眺めて終わるより、風船爆弾が飛び立っていった空を見上げる(べたですね)か、もう一度、作業に戻って終わるほうが良かったかな。
3回ほど、会場で越智さんを見かけたけど、なんとなく声をかけそびれてしまいました。青年劇場の越智さんと、川之江の越智さんは、オーラが違いますね。(笑)
2.作新学院高校「ピチカート」
幕開きから、爆笑で観客をわしづかみにして、そのまま、ぐいぐい引っ張っていきました。セットも努力の結晶で、大畔と黒板だけでしっとりと演じた川之江と、装置も演技の質もまったく対極といっていい仕上がりでした。そして、そのどちらも面白いのだから演劇は不思議です。
「スリーマウンテン」(劇中に出てくる男子3人組のお笑いユニット)のネタは、M1の予選は通過できるんじゃないかという面白さでした。主役のモモコも良かったけれど、お年寄り役が、変に声を作ってなくて、身体表現で年齢を表現しているのが、とても良かったです。
ただ、ラストは、ちょっと予定調和すぎる気がしなくもありません。
3.岡山県立倉敷鷲羽高校「ゴトーを待ちながら」
言わずもがなの「ゴドーを待ちながら」を下敷きにしてるので、結局、「後藤」はこないんだよなーと思いながら、どう展開させるのか、ゴドーと比べながら見るので、「ああ、やっぱり、今日は来ません。」なのかーとか、「へえ、待ってる理由ははっきりさせるんだ」とか、ほかの作品とは違う楽しみ方ができた。
男子高校生の下らなくて愛すべき日常が瑞々しく描かれていて、癒される作品だった。中央上手にぽつんと点いている電柱の外灯は、ストーリーの進行にきちんと意味を持っていたし、別役 実からの「不条理劇」の象徴としても面白かった。
4.兵庫県立加古川東高校「お通夜」
関西弁でテンポよく進められ、「松竹新喜劇」を見ているようで、楽しかった。特に河内先生の演技は、とても高校生とは思えない出色の出来でした。
こういう芝居は、やっぱり、関東じゃ出来ないですね。やっぱり、生まれてからの環境というか、体に染み付いた文化はすごいなあと思う。
5.三重県立飯野高校「部活戦グラデーション」
私たち教員(まとめて言うのは失礼ですが)は、どうしても、どこかで予定調和や、救い、前向きな結末を求めてしまう傾向があると思います。そして、そうでないものに批判的になりがちです。(もちろん、そうでない方もいらっしゃるでしょう。自戒を込めてです。)
この作品は、生徒作品であり、作者が演出も担当していて、いじめの連鎖というか、救いのない現状の怒りというか、そういう潔さがあり、考えさせられました。結末も、季刊高校演劇に載っているのは、新たにいじめのターゲットになる生徒に他の子が話しかけて幕となっていましたが、今日、上演されたのは、少し話して、出てゆくところで幕と、さらにシビアになっていました。
演技や脚本の展開に、より良く出来るであろう点も見受けられましたが、こういう姿勢は、尊重していかなければならないと思います。

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